臨床検査技師(MT)として就職・転職を考えている方の中には、血液や輸血に関連した「血液センター」で働くことに興味を持っている方もいるかもしれません。

血液センターでの仕事は血液に特化していることが特徴ですが、公務員並みに安定していることや、やりがいも大きいことから、MTの転職先としても魅力的な職場と言えるでしょう。

この記事では、血液センターの特徴や仕事内容をはじめ、どのような人におすすめの職場と言えるかについて解説しているので、関心のある方はぜひ参考にしてみてください。

1. 血液センターの特徴

血液センターは、正式名称は「赤十字血液センター」といい、日本赤十字社の施設の一つです。病気やけがで血液が不足したときには輸血が必要ですが、血液センターでは輸血用血液の製造・供給を行っています。

血液センターは、おもに採血を行う部門、検査を行う部門、製剤を行う部門、供給を行う部門の4部門から成り立っています。採血から供給まで輸血に関するすべての部門を担っていると言えます。

血液センターがなければ、安全な輸血や供給などを行うことはできないため、ここでの仕事は日本の医療を支えるうえで非常に大きな役割を果たしていることになります。

臨床検査技師(MT)が血液センターで働く場合、献血センターなどで採血を行う仕事もありますが、この記事ではおもに血液検査や血液製剤の調製などについて取り上げたいと思います。

2.赤十字血液センターでの仕事内容

次の臨床検査技師(MT)が血液センターで働く場合の仕事内容について見てみましょう。血液センターでの仕事内容はおもに以下の3つがあります。

1.血液検査を行う
2.品質管理に携わる
3.血液製剤の調製を担う

それぞれの仕事内容について詳しく見ていきたいと思います。

 ①.血液検査を行う

血液センターでは献血された血液の生化学検査を行っています。肝機能やコレステロール値などを調べ、献血者の中の希望者にお伝えして体の健康状態を把握するのに役立ててもらっています。

また、献血された血液は安全な輸血が行われるように、血液型やウイルス感染の有無といった各種の厳しい検査を行ってから血液製剤として医療機関に供給しています。

 ②.品質管理に携わる

血液センターでの大切な業務の一つに「品質管理」があります。具体的には、血液の検査結果と血液製剤の製造工程を確認して、出荷の可否を判定するのがおもな仕事になります。

また、輸血用血液の安全性を高めたり、品質確保を行ったりするために、各部門の作業が適正に行われているかどうかを管理する仕事も含まれます。

 ③.血液製剤の調製を担う

献血された血液は輸血用の血液製剤として調整されますが、その作業を担当することもあります。具体的には、献血された血液を受け入れ、副作用の原因になる白血球の除去などを行います。

また自動血液分離装置を使って、血液を赤血球と血漿に分離したり、血小板製剤を調製したりするといった仕事もあり、最終的には完成した血液製剤のチェックを行い、合格した血液だけを出荷します。

3. 病院との違い

次に病院で働く場合と血液センターで働く場合には、どのような違いがあるのかを見てみましょう。具体的には、働き方と給与の違いについて取り上げます。

 働き方の違い

病院では検体の検査や生理機能検査などが臨床検査技師(MT)としてのおもな仕事になりますが、血液センターでは血液に関連した仕事のみを行うことになります。

夜勤はないので、日勤のみで働いている病院やクリニックで働くのと同様の形で働くことができます。育児中の方も仕事と子育てを両立しながら働くことができる職場と言えます。

 給与の違い

給与面に関しては病院で働くのとそれほど大きな差はありません。給与以外の待遇や福利厚生について言えば、年間休日は120日以上ありますし、福利厚生や各種手当も充実しています。

血液センターで働くMTは日本赤十字社の社員になりますので、安定性が高いのは大きなメリットです。実質的に公務員として働くのと同程度の安定性と言えるでしょう。

4. 血液センターがおすすめな人

最後に、血液センターで働くことがおすすめな臨床検査技師(MT)はどのような人なのかお伝えします。

 血液に関連した業務に興味がある人

血液センターでは、すべての仕事が血液に関連した業務になるため、いろいろな検査をしたいというよりも、血液の検査や血液製剤の調製などに強い関心がある人におすすめの職場と言えます。

また、血液センターでの仕事は献血用の血液を供給して日本医療を支えている大切な仕事です。日本の医療を支え、たくさんの患者さんを助けているということにやりがいを感じる人にも向いています。

 ②.安定した職場で働きたい人

病院との違いでも紹介したように、血液センターは日本赤十字社で働くことを意味します。競合する会社はほとんどないため、「倒産したらどうしよう」というような心配もありません。

また、各種手当や福利厚生なども整っていることが特徴です。そのため、MTとして公務員並みの安定した職場で働きたいという人にもおすすめです。