医療系資格が必要となる職業は高収入と言われていますが、臨床検査技師(MT)の場合も、高収入を得ることができる職業と言えるのでしょうか。

これからMTを目指そうと考えている方や、現在MTとして働いていて、自分の給与が平均より高いか低いのか分からないという方は、MTの平均年収がどうなっているのかは関心のある話題と言えるでしょう。

今回は、MTの年収や賞与について詳しくご紹介するとともに、収入アップを図る方法までお伝えしていきます。

1. 臨床検査技師の年収は461万円

厚生労働省の令和元年賃金構造基本統計調査によると、全臨床検査技師(MT)の平均年収は約461万円です。これは日本のサラリーマンの平均年収とほぼ同じ金額です。

もちろん、これは新卒からベテラン技師まですべてのMTの年収の平均のため、人によって年収は違います。事業所の規模による年収の違いや月収、賞与などについても見てみましょう。

 ①.事業所の規模による年収の違いは?

同じく厚生労働省の調査では、10~99人の職場では平均年収が約438万円、100~999人までの職場で約433万円、1000人以上の職場で約496万円でした。

このように事業所の規模が1000人以上だと高くなる傾向があることが分かります。また、病院や臨床検査センターよりも製薬会社や医療機器メーカーの方が、給与が高い傾向があります。

 ②.MTの月収

先ほどの厚生労働省の調査によると、平均月収は約31万円となっています。実際の手取りは24、5万円ぐらいだと考えられます。

 ③.MTの賞与

調査によるとMTの賞与の平均は約87万円となっています。もちろん、賞与に関しても働いている職場や年齢、役職などによって大きく変わってきます。

 ④.MTの残業代

賃金構造基本統計調査の「きまって支給する現金給与額」から「所定内給与額」を差し引くと、約3万円になります。なお、これには時間外勤務手当以外に通勤手当なども含まれています。

2. 男性技師の年収推移

厚生労働省の調査からは、男女それぞれのMTの年収の推移も5歳刻みで見ることができます。男性の場合、20~24歳の平均年収は約315万円から年齢とともに上がってきています。

一番年収が高い年齢は65歳~69歳で、約710万円となっています。男性の場合は昇進などもあって年齢を重ねるにつれて年収が上がっていく傾向があります。

3. 女性技師の年収推移

女性技師の場合の年収の推移は、20~24歳の時の平均年収は約306万円と男性とそれほど差はありませんが、ピークは50~54歳のときで、年収は約511万円と男性より低い結果になっています。

女性の場合の年収は30代ぐらいから男性と差が見られるようになりますが、男性より給与が低い理由としては、育児などでMTの仕事を辞めて、再就職するケースが多いことが考えられます。

4. 昇給する方法

臨床検査技師(MT)の年収は、推移を見ても明らかなように勤続年数を重ねれば昇給しますが、勤続による昇給は少額です。最後に給料を大幅にアップさせる方法を3つご紹介します。

 ①.資格などを取得してスキルアップする

昇給のためにはMTの職務に関連した認定資格を取得することが効果的な方法です。具体的には、一級臨床検査士や細胞検査士、超音波検査士などの資格があります。

もちろん、エコー経験者が高く評価されている職場で、細胞診断士の資格を取得してもあまり評価されないので、ただやみくもに資格を取得すればよいというわけではありません。

しかしながら、職場の業務に役立つ資格を取得すれば資格手当を支給されるなど給与のアップにつながるでしょう。また、資格を取得していれば転職する際にも強力な武器になります。

 ②.管理職を目指す

MTとしてある程度勤務してきたのであれば、管理職のポストに就くことによっても給与のアップを狙うことができます。病院なら検査部の技師長や室長、企業なら部門長などを目指すことができるでしょう。

もちろん、管理職になるためには就職したばかりでは無理で、それなりの勤続年数が求められることに加え、経営側からの信頼を勝ち得る必要もあります。病院や企業にもよりますが、早ければ30代から管理職が狙えるでしょう。

管理職になるためには、資格の取得も役立つほか、ほかのMTを束ねる管理能力も必要です。MTとして経験が長く管理職の経験があるなら、管理職候補を募集している求人に応募するのも一つの方法です。

 ③.より規模の大きい病院や企業に転職

自分の基本給が平均より低い場合には、より条件の良い職場に転職することも給与アップできる方法と言えます。規模の大きい職場や大手企業は好条件の求人を出しているケースが多いと言えます。

ただし、待遇や給与の良いの求人はMTとして十分な経験や資格を持つことを条件としていることが多いので、まずは現在の職場で専門性を高めて、キャリアを積むための努力をすることが重要だと言えるでしょう。