臨床検査技師(MT)の主な就職先は、病院やクリニックなどの医療機関ですが、公務員として働くこともできます。

公務員は安定しているというイメージが強いことから、就職活動や転職活動を行う際に、公務員として働いてみたいと思う方もいるかもしれません。

今回は、公務員としての働き方や、公務員以外の臨床検査技師との働き方の違い、公務員として働くことのメリットやデメリットについて解説します。

1. 公務員の臨床検査技師とは

臨床検査技師が公務員として働く場合、就職先としては国公立病院や保健所、科学捜査研究所などで働くことが考えられます。それぞれの就職先で働く場合の特徴や仕事内容などについて見てみましょう。

 国公立病院

国立病院や県立、市立などの公立病院で働く場合、民間の病院と仕事内容は大きく変わることはなく、血液検査や生化学検査などの検体検査や生理機能検査を行って、患者さんのデータを提供する仕事を行うことになります。

 保健所や衛生環境研究所

保健所や衛生環境研究所で働く場合は、食品などの細菌検査や水道施設の立ち入り検査のように公衆衛生に関する検査がおもな仕事内容になります。

ほかには、食中毒などが発生したときに指導や聞き取りを行い、最終的には保健所長が営業停止などの行政処分を行うことになります。

 科学捜査研究所

科学捜査研究所は「科捜研」という略称でも知られていますが、警察庁の付属機関として科学捜査をしたり、証拠物などの鑑識や検査を行ったりする研究機関です。

検査して得られた結果を鑑定書にまとめて捜査員と共有し、事件の真相解明に貢献します。ほかには、裁判所に出廷して証言するといった仕事も行います。

2. 公務員として働くメリット

公務員の臨床検査技師として働くことにはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは3つご紹介します。

 スキルアップにつながる

国公立病院で働く臨床検査技師の場合、スキルアップにつながることがメリットの一つとして挙げられます。

国公立病院は公的な病院なので、患者さんの信頼も厚く、それにこたえるための設備や機器が充実しているという特徴があります。

そのような環境で働くことは、臨床検査技師としてスキルアップするのに役立ちます。

 職場環境が良い

公務員の福利厚生は非常に充実しているなど、職場環境が民間の医療機関に比べると充実していることもメリットの一つと言えます。

出産や育児などの休暇が取りやすいなど子育てをしやすい環境は、キャリアを継続したい、仕事と家庭生活を両立したいと考えている女性の臨床検査技師にとってメリットです。

 解雇されるリスクが少ない

公務員は大きな問題でも起こさない限りは解雇されることがないのもメリットです。

民間企業のように経済動向の変化や業績悪化によって倒産することはなく、リストラもないので長期的な視点で仕事をしたい人にとってはメリットが大きいと言えます。

経済状況が不安定でも、安定して仕事を継続することができます。

3. 公務員として働くデメリット

メリットの多い公務員ですが、デメリットもないわけではありません。デメリットについても3つ考えてみたいと思います。

 給与がそれほど高くない

臨床検査技師が国公立病院で公務員として働く場合、給与はそれほど高くないと言われています。

保健所や科学捜査研究所は国公立病院で働くより給料が良いケースが多いので、より給料の良い職場を希望する場合には、保健所や科学捜査研究所での求人を探すと良いでしょう。

 異動が多くスキルアップが難しい

公務員として働く臨床検査技師は、定期的に県内の各地に転勤があります。

そのため、仕事を覚えたと思ったら異動になって、腰を据えてスキルアップするのは難しいといえるでしょう。

一方で、異動が多いことでさまざまな知識や経験を積めるメリットもあります。

 年功序列のため実力が評価されない

収入に関しては公務員の人事評価は年功序列の傾向が強く、継続年数が長くなると給料が段階的にアップしていく仕組みです。

安定して給料がアップしていくのはメリットですが、実力が給料に反映されにくいというデメリットもあります。給料を上げるためには専門性の高い資格を取得することができます。

4. 公務員として働く際の気になる疑問

最後に、臨床検査技師が公務員として働くにあたって考えられる疑問をいくつか取り上げたいと思います。

 公務員として働く場合の年収はどれぐらいですか?

職場によっても年収は異なりますが、東京都のある市民病院で臨床検査技師として働く場合、4年制大学卒で月額213,325円程度、短大等3年制卒で月額192,970円程度、採用2年目の年収見込みは、4大卒で約400万円、短大等卒で約370万円という求人情報がありました。

保健所や科学捜査研究所で働く場合には、それよりも高い年収になります。

 勤務時間はどれぐらいですか?

勤務時間に関しても職場によって大きく変わるのが実情です。病院で勤務する場合、業務開始は8時~9時、業務終了は17時~18時というケースが多いでしょう。

これは、保健所や科学捜査研究所で働く場合も同様で、土曜日・日曜日・祝日は休みとなるケースが多いです。

ただ、民間の病院と同じで公立でも夜間外来や病棟がある病院では、当直勤務があります。