これから臨床検査技師(MT)の世界に飛び込もうと考えている方は、MTとしての将来性も気になるに違いありません。もしかすると、MTという職業には将来性がないと聞いたことがあるかもしれません。

この記事では、臨床検査技師の現状や将来性が本当にあるのかどうか、どうすればMTとして一生活躍することができるか詳しく解説していきます。

1. 臨床検査技師の現状

臨床検査技師(MT)の将来性について考えるにあたって、現状はどうなっているのかを最初に見てみましょう。現状を見ることで、ある程度将来についても予測することができます。

 ①.検査の自動化が進んでいる

以前は検査機器が現在ほど導入されていなかったために、多くの人手が検査に必要とされていましたが、現在では検査の自動化が進み、検体作業の業務自体が減ってきています。

とはいえ、経験値がものをいう異常値の判断や、測定機器のメンテナンスに関係した仕事などは人間による管理や最終判断が欠かせない段階です。

さらに、今後は現在MTが行っている仕事の大半をAIが担うようになるため、医療機関におけるMTの必要性は少なくなっていくだろうと予想されています。

 ②.MTの数は年々増えている

一方で、臨床検査技師国家試験の受験者数と合格者数は、毎年増えているという実情があります。そのため、今後はとくに病院施設での競争は厳しくなっていくことが予想されます。

とくにMTの場合は、国家試験に合格しても現場で使えるようになるまでは数年かかると言われています。必ずしも研修制度が充実しているわけではないので、採用後数年は経験を積む努力が必要です。

また、MTに限った話ではありませんが、団塊の世代の大量退職によって求人がある程度は増えることが予想されますが、優秀な人材確保が今後の課題となるとも言われています。

2. 臨床検査技師の将来性

以上のような臨床検査技師(MT)の現状を踏まえると、今後新たにMTになる人の将来性は暗いように感じるかもしれませんが、実際には悲観する必要はありません。その理由を説明したいと思います。

 ①.予防のための検査が増える

これまでは、病気になったら治療するという考え方が一般的でしたが、近年では病気を予防することや早期発見、再発防止のための検査など、予防医学や健康増進の意識が高まってきています。

そのため、病気の早期発見に役立つ健康診断や人間ドックなど、健康な人に対する検査が増えていくと考えられます。国民の健康志向がMTの需要をこれからも高めていくことになるでしょう。

 ②.検査項目が増える

また、医療機関で現在行われている検体検査の検査項目は1,700項目を超えていると言われていますが、今後も多くの新しい検査が導入されていくため、検査に対応するMTの必要は大きいと言えます。

また、近年ではMTにも採血以外の検体採取ができるようになったほか、検査の説明をMTが行うといった流れもあるため、今後はこのような業務も増えていくと考えられています。

 ③.企業や動物医療の分野にも広がる

別の傾向として、これまでMTの職場は医療施設が大半だったのに対して、最近では検査センターや製薬企業、医療機器メーカーなどに広がってきており、今後もその流れは拡大していくでしょう。

さらに近年では大手の動物病院を中心に、動物医療のための検査に注力するところも増えています。このような動物医療での臨床検査も、これからまだまだ広がっていく可能性を秘めていると言えます。

3. 専門性を磨いていくことで活躍の場は広がる

ここまで見たきたように、今後臨床検査技師(MT)の業界もさまざまな変化が生じることが予想されますが、専門性を磨いていくことで活躍の場を広げることができます。

具体的に、どのような方法で活躍の場を広げることができるか、2つの方法を取り上げたいと思います。

 ①.MTとしての上級資格を狙う

今後は臨床検査技師としての資格を持っているだけは就職も難しくなってくるため、細胞検査士や、超音波検査士など、さらに高度で専門的な資格を取得することが大切です。

もちろん、MTとしてどんな業務もこなせることも転職の際などの強みとなるため、エコーも採血も検体検査もできるといったスキルを幅広く身に付ける努力も怠るべきではないでしょう。

 ②.病院の検査室以外にも目を向ける

これからMTを目指すのであれば、医療機関だけでなく、製薬会社や医療機器メーカーなど企業に就職するというという道も視野に入れるのが活躍の場を広げるカギになります。

前の章でもご紹介しましたが、動物医療での検査業務も今後広がっていく可能性があるので、MTとしての新しい就職先として検討してみることもおすすめします。