臨床検査技師の業務は多岐にわたり、同じ職場で働き続けると担当分野の技術や知識は向上しますが、全くかかわらない検査業務も多くあります。もっとスキルアップしたい、違う分野の検査業務に携わりたいと思い、転職を考える方もいらっしゃるでしょう。

転職活動を行う際、志望動機の書き方に悩む方が多いと思われます。そこで臨床検査技師が希望する転職ができるよう、志望動機の書き方を紹介しますので参考にしてみてください。

1. 志望動機を書く際のポイント

志望動機を書くポイントは、事前に転職先の業務内容や特徴などを調べておくことです。

その転職先を選んだ明確な理由と、臨床検査技師としてのこれまでの経験や性格などが生かせることをきちんと伝えるためです。

また、志望理由として待遇面や知名度などを挙げるのは、良い印象を与えませんので控えましょう。

2. 志望動機の具体例と解説

臨床検査技師の志望動機の例文と解説を転職先別にご紹介します。

 大規模病院への転職

前職で転職先の業務と一致するものがあれば経験を生かせるため強みとなります。また、患者さんに接する検査ではコミュニケーションも大切ですので、ぜひアピールしましょう。資格取得の意思なども示しておくと、向上心が感じられます。


現在は臨床検査技師が少人数の病院に勤務しており、採血や血液・尿の一般検査、頸動脈エコー、心電図など幅広く業務を行いながら、患者さんや他業種のスタッフとのコミュニケーションも身に付けました。そのなかで特に頸動脈エコーに興味を持ち、より極めたいと思うようになりました。貴院では業務が細かく分かれているため超音波検査に従事し、経験を生かしながら多くの症例にあたってスキルアップしたいと思い、応募いたしました。将来的には超音波検査士の資格取得を目指したいと思っております。

 クリニックへの転職

クリニックならではの検査範囲の広さ、患者さんや多職種のスタッフとの距離感などに対する魅力を示しましょう。


前職では血液・尿・髄液等の検体検査のみに携わっておりましたが、患者さんの顔を見て会話をしながら検査を行いたいという希望がありました。貴院は地域の患者さんが多く通院しておられるようなので、医師や看護師などと連携して患者さんの健康をサポートしていきたいと思っています。臨床検査技師の業務は幅広くすべての検査を経験するのは難しいですが、採血や一般検査、生理機能検査など少しでも多くの検査にかかわりたいと思っています。

 検査センターへの転職

検査センターでは「検体検査」「検査数が多い」という特徴がありますので、その特徴と自身の性格とが合っていることをアピールしましょう。

また、多くの医療施設から検体を預かって検査を依頼されており信頼にかかわるため、正確な検査を行うための心構えも伝えましょう。


現在クリニックで検査業務に携わっており、一般的な検査は行っていますが、患者さんの症状によっては外注検査に回すものも多くあります。外注に回される検査のほうに興味を持ち、検査センターへの転職を決めました。貴社では数カ所の支所で回収された検体が本社に集められて検査を行うため、多くの検査にかかわれることにやりがいを感じ、コツコツと取り組むのが好きな私に向いた働き方ができると思っています。検体の取り違え等がないよう細心の注意を払って、正確な検査を行うことを心がけます。

 健診センターへの転職

健診業務では、早期発見と接遇面について、経験や心構えを伝えましょう。


前職では、病院の検査室で糖尿病負荷試験を担当し、採血・採尿・説明等で患者さんと接してきました。なかには糖尿病合併症で失明した患者さんが定期的に検査を受けに来られることもあり、早期発見・早期治療できていればと思いました。病気の早期発見のためには健診が重要であると感じ、健診センターへの転職を希望しました。貴院では学校の健診も行われているので、若いうちからの予防につながると思い応募いたしました。前職でも患者さんと接していましたが、患者さんが気持ちよく検査を受けられるよう、よりいっそう接遇面を磨いていきたいと思っています。

 医療機器メーカーへの転職

医療機器を提供する際、機械の特徴だけでなく医療知識について詳しいと信頼を得やすくなります。機械に強いことや臨床検査で培った知識などをアピールしましょう。


私は大学病院の生化学検査室に勤務しており、ローテーションで担当項目が変わっていくなかで複数の検査機器を使用してきました。貴社のスタッフさんがメンテナンスや新規採用機器のデモで来られたときに、手早く調節したり詳しく説明したりされるのがとても魅力的でした。私はもともと機械を扱うことが好きですので、自分も医療機器を提供する側になって、身に付けた医療知識を生かしながら、使用する側から頼られる存在になりたいと思っています。

3. おすすめの記入パターン

転職先が求めている臨床検査技師と自身の経験、性格、資格で合致している点をアピールするとともに、どうして転職先がそこでなければならないのか理由を明確に記入しましょう。

経験としては「数多くの検体検査を行った」「ある特定の検査を専門に担当し技術と知識を身に付けた」「患者さんや多職種のスタッフとのコミュニケーションを身に付けた」など転職先で生かせるものを書きましょう。

性格としては「細かい作業を根気よく続けられる」「人と接するのが得意」などが挙げられます。

資格としては「細胞検査士」「超音波検査士」などが有利になります。

採用担当者から他の医療施設でも良いのではないかと思われないよう、その医療施設でなければならない具体的な理由を示すことが重要です。転職先の特徴をとらえ、そのなかで自身が特に魅力を感じた点を示しましょう。