臨床検査技師(MT)と看護師は、医療施設で共に働くことも多いので見た目上では区別がつかないこともあります。将来、MTになるか看護師になるか悩んでいる方もいるかもしれません。

どちらも国家資格ですが、働き方や年収、資格の取得する難易度はどのように異なるのでしょうか。また、どのようなタイプの人がそれぞれの職業に向いているのでしょうか。

今回は、そんな疑問を持つ方のために、MTと看護師の違いについて詳しくご紹介していきます。

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1. 臨床検査技師と看護師の違い

臨床検査技師(MT)と看護師の違いを見ていきたいと思いますが、最初に仕事内容の違いや残業が多いかどうかといった違いについて説明していきます。

 ①.仕事内容の違いは?

臨床検査技師のおもな仕事内容は医師の指示に従って、いろいろな検査を行い、医師が病気の診断や適切な治療を行うのをサポートすることにあります。

検査は大きく2種類に分けることができ、血液や尿などを採取して検査する「検体検査」と、超音波検査(エコー)や心電図検査など直接患者の体を検査する「生理機能検査」です。

一方、看護師は医師が患者の診察や治療を行う際のサポートをしたり、患者さんがお風呂に入ったり、食事をしたりするといった身の回りの世話を行うのがおもな仕事です。

MTが採血や一部検体の採取しかできないのに対して、看護師は医師の指示のもとに採血や投薬、注射、点滴、医療機器の操作など幅広い医療行為に携わることができます。

 ②.残業が多いのはどちら?

医療機関で働くMTの場合、日中に働くことが多いと言えますが、大きな病院などでは入院患者や救急医療を行っているため、当番制で夜間の当直や休日出勤などがあります。

しかしながら、時間外の仕事は当番の技師に引き継ぐことが多いため、病院勤務の場合は残業が少ない傾向にあります。臨床検査センターでは検体の量が多い日は残業することもあります。

一方で看護師は、24時間看護を行っている病院に勤めている場合、2交代制や3交代制が採用されていることが多く、夜勤や休日出勤も多い傾向があります。

勤務場所によっても違いますが、MTに比べると看護師の方が夜勤や休日出勤の数が多いと言えるでしょう。生活のサイクルもMTに比べると不規則になりがちです。

2. 年収やキャリアの違い

次に臨床検査技師(MT)と看護師の年収やキャリアの違いについて見ていきましょう。

 ①.年収の違い

厚生労働省から公表された令和2年の「賃金構造基本統計調査」によると、新卒のMTからベテラン技師まですべてのMTの平均年収は約493万円となっています。

夜勤のある病院や臨床検査センターでは夜勤手当がつくために、給与は高くなる傾向があります。また、大規模な施設の方が給与は高いという傾向も見られます。

それに対して新卒からベテランまですべての看護師の平均年収は、約492万円となっていてMTよりも低くなっています。

ただ、2つの職種の年収平均は年によって前後が入れ替わりますので、ほとんど差わないと言えるでしょう。

 ②.キャリアの違い

MTとして一通り業務がこなせるようになるまでは3年間ほどかかると言われています。その後は「緊急臨床検査士」や「超音波検査士」のように資格を取得してキャリアを充実させる人が多いです。

経験を積んでスキルアップすることによって、リーダー職に就くチャンスが広がるだけでなく、これまで培ってきた経験や資格を活かして転職する人もいます。

看護師の場合は、目指す方向性に応じてさまざまなキャリアが考えられます。具体的には認定看護師や専門看護師と言った資格を取り、特定分野でエキスパートを目指す道があります。

また、管理職に就くことを目指してリーダー研修やマネジメント研修を受け、組織の中でキャリアアップしていく道もあります。看護師の経験を活かして介護業界や製薬会社に転職する方法もあります。

3. 臨床検査技師と看護師の特性

次にどのような人が臨床検査技師(MT)と看護師に向いているのかを解説したいと思います。まずはMTの場合ですが、正確なデータを提供したり、検査機器の操作をしたりする必要があります。

そのため、数学的・論理的思考力を持っている人や、正確な実験結果を出すことに長けている人はMTに向いていると言えるでしょう。

看護師の場合は、医師の指示を的確また迅速に実行する順応性や、自由に動くことができない患者さんの気持ちを汲んで支援することが求められます。

そのため、弱い立場の人を助けたいという気持ちが強い人や他人に共感する能力が高い人、言語的な理解力が高い人は看護師に向いていると言えるでしょう。

4. 資格を取得する難しさ

最後に臨床検査技師(MT)と看護師の資格を取得するのはどちらが難しいかですが、これは求められる知識の分野が違うため、一概にどちらが難しいとは言えません。

単純に国家試験の合格率だけ見れば、MTの合格率が70%~80%前後なのに対して、看護師は90%前後なので、MTの方が試験は難しいと言えるでしょう。

ただ、MTの場合も学校で講義をきちんと受け、国家試験対策をしっかりしておけば難易度はそこまで高くはありません。看護師も試験に受かった後の病院実習の大変さなどもあります。