転職を考えている臨床検査技師(MT)にとって、どのような勤務先に転職するかは最初に考えるべき重要なポイントと言えるでしょう。

MTの転職先というと、真っ先に病院やクリニックなどの医療施設が思い浮かぶかもしれませんが、実際には医療施設以外の転職先も数多くあります。

今回の記事では、転職する前にどのような施設があるのかを知りたい方のために、勤務先の種類や特徴、就職・転職先を選ぶ際のポイントなどを詳しく解説していきます。

1. 大きく分けると2パターンの職場がある

臨床検査技師(MT)の就職・転職先としては、大きく分けると病院・クリニックなどの医療機関と、製薬・医療機器メーカーなど医療施設以外の企業などの2パターンに分けることができます。

 ①.医療施設

最も人気があり、MTの多くが所属する就職・転職先ですが、医療施設にもさまざまな種類があり、大きく分けると病院とクリニックに分かれます。

また、クリニックに近いものとして検診センターで働く道や、産婦人科、整形外科など特定の科目を扱う病院やクリニックで働くという道もあります。

さらに、医療施設の場合は民間のもの以外にも、国公立病院や保健所など公務員として働ける勤務先もあり、民間の医療施設に比べると福利厚生が充実していることが特徴です。

 ②.医療施設以外の職場

医療施設以外の職場としては、臨床検査センターや製薬会社、医療機器メーカーなどが挙げられます。民間の企業ですが、血液センターでの仕事のように、公務員に近い待遇のところもあります。

こうした医療施設以外の就職・転職先では、臨床検査技師として数年の経験を積んでいることが求められることが多いですが、夜勤などがない職場が多いのはメリットと言えるでしょう。

一方で、高いコミュニケーション能力など検査能力以外の能力が必要なこともあります。就職や転職に失敗しないためには、それぞれの職場の特徴を事前にしっかり把握しておくことが重要です。

2. 臨床検査技師の働き先は豊富

この章では、非常にたくさんある臨床検査技師(MT)の就職・転職先の中から、主なものの特徴を簡単に説明していきたいと思います。

 ①.公務員

国公立病院で働く場合、公務員として働くことができます。

仕事内容は民間の病院と変わりませんが、仕事が安定していることや福利厚生が充実しているといったメリットがあります。

 ②.臨床検査センター

臨床検査センターでは、病院やクリニックから送られてきた検体を検査する仕事を行います。

派遣先の病院検査室で働くケースもあり、その場合は病院勤務と変わらない仕事内容となります。

 ③.保健所

保健所では、自治体が管理する施設や食品営業施設などの許認可や、食中毒発生時の検査、調査施設に対する指導などを行います。

保健所で勤務する場合も公務員として働くことになります。

 ④.大手企業

大手企業には病院施設以外の企業のうち、企業の規模が大きい企業のことを意味します。

一般的に中小企業に比べると給与が高く、福利厚生が充実しているというメリットがあります。

 ⑤.病院

MTの主要な就職・転職先ですが、仕事内容としては検体検査と生理機能検査があります。

MTの数は病院によっても異なるほか、夜勤などがあるケースもあります。

 ⑥.製薬会社

製薬会社では新薬開発や基礎研究を行う研究員として働いたり、治験の企画から実施、終了までをコントロールしたりする臨床開発モニターの仕事などがあります。

 ⑦.クリニック

クリニックは地域密着型の診療施設で、健診業務や診療補助、事務業務まで任されることもあります。

勤務するMTの数が病院より少ないことも特徴と言えます。

 ⑧.検診センター

医療施設内に併設されていることもありますが、独立した検診センターもあります。

仕事内容は生理機能検査がメインとなり、日勤のみで女性が多く働いていることも特徴的です。

 ⑨.産婦人科

産婦人科には、妊娠/出産に携わる産科と、女性特有の疾患などを扱う婦人科があります。

基本的には病院での仕事内容になりますが、胎児エコーなど超音波検査のスキルが重視される職場です。

 ⑩.整形外科

整形外科は骨折以外にも骨・関節などの骨格系から運動器まで全身に関係した診療科目です。

病院の規模にもよりますが、検査内容が多岐にわたるのが特徴と言えるでしょう。

 ⑪.医療機器メーカー

医療機器メーカーは、医療機器の製造・販売をする企業です。

MTの場合、医療機器に対する知識を活かして営業のサポートを行うのがおもな仕事になるので、機器の知識やコミュニケーション能力が求められます。

 ⑫.血液センター

輸血用の血液の検査や、輸血用血液製剤の製造・管理などがおもな業務内容になります。

日本赤十字社の社員として働くことになるので、公務員並みの福利厚生を期待することができます。

 ⑫.治験施設支援機関

治験施設支援機関では、治験コーディネーターと呼ばれる仕事をします。

治験を行ってくれる医療施設を訪問して、適切に治験が行われるよう各部署を調整(コーディネート)するのがおもな仕事内容です。

3. 転職先の選び方

ここまで見たきたように臨床検査技師(MT)の転職先は数多くありますが、自分自身が今後、どのようなキャリアアップをしていきたいかを考えるというのも大切なポイントの一つと言えるでしょう。

臨床検査技師としてスペシャリストを目指したいのであれば、幅広い検査業務を扱う大規模な病院が良いでしょうし、特殊な検査を行いたいのであれば、臨床検査センターを検討してみることもできます。

転職活動で失敗することがないよう、ぜひ自分がなりたい臨床検査技師像を考えてみてください。